北海道近海では、ブリやマグロを狙うジギングが盛んです。特に注目しているのが「ドテラ流し」で行うジギング、その名も”ドテラジャーク”。潮の流れと船の流れを活かしたこのテクニックは、通常のバーチカルジギングでは食わせきれない魚に口を使わせる力を持っています。北海道の海を舞台に、ブリ・マグロをターゲットにしたドテラジャークを昨年からやりはじめました。
ドテラ流しとは? まずは基礎を理解しよう
“ドテラ流し”とは、船のエンジンを止めるか、軽く流しながら、風や潮に任せて自然に船を流す釣り方を指します。ポイントは、船が潮に対して横向き、あるいは斜めに流れていくこと。
これにより、ラインはまっすぐ下に落ちるのではなく、大きく斜めに出ていきます。この斜めのライン角度を活かし、自然なジグの動きと広い探り幅を生み出すのが、ドテラジャークの真骨頂です。
北海道近海では、潮流が強い場所(例えば積丹沖や美国沖)も多く、ドテラ流しとの相性が抜群なのです。
ドテラジャークとは? 通常のジャークとの違い
通常のジギング(バーチカルジギング)は、基本的に真下にジグを落とし、縦方向に誘う釣り方です。一方、ドテラジャークではラインが斜めに出ているため、ジグも大きな弧を描きながら動きます。
この違いが生むメリットは大きく3つ。
- ナチュラルなジグの挙動:潮流を受けて自然に漂うジグは、スレた大型魚にも違和感を与えにくい
- 広範囲を探れる:斜めにジグが動くため、ポイントを広くカバーできる
- フォールで食わせられる:ジグが斜めに落ちることで、食わせの間(フォール時間)を長く取れる
- 本来のベイトを演出できる
特に、大型ブリや回遊性の強いマグロは、ナチュラルなアクションに反応が良い傾向があり、ドテラジャークの威力が発揮されます。
ドテラジャークのやり方【基本ステップ】
- 潮と風の流れを確認する
- 流れる方向を見極め、キャスト方向を決定します。
- 潮下方向へキャスト
- 船の流れに合わせて潮下に向かってジグを真下に投入。
- 着底を取る場合と取らない場合がある。
- 糸ふけを取りながら着底を感じます。(ブリ)
- 狙いの棚で止める(マグロ)
- 大きめのジャークを入れる
- 通常よりも大振りにロッドを煽ります。
- フォールをしっかり取る
- ジグをフワッと自然に落とす。この間がヒットチャンス!
- 繰り返す
- ジャーク&フォールをテンポよく、状況に応じてリズムを調整。
- バイトを感じたら即合わせ
- ライン角度があるため、ヒットしてもテンションが抜けやすいので、強めにフッキング!
ドテラジャークで使うタックル選び
ロッド
- 7〜8フィート前後のジギングロッド
- 柔軟性と粘り重視(ファイト時のバラシ防止・低反発ロッド)
リール
- ブリ スピニングリールの4000〜8000番・ベイトリール300〜1500番
- マグロ スピニングリールの8000〜14000番・ベイトリール2000〜4000番
- ドラグ性能の高いモデル推奨
ライン・リーダー
- ブリ PE1.5〜2号
- マグロ PE3〜5号
- リーダー30〜130lb(ナイロン・フロロ)
ジグ
- センターバランスまたはセミロングタイプ
- 重さ:180g〜400g前後(潮速と水深による)
北海道の積丹沖などでは、200g〜250gを中心に、潮が速い日は300gクラスも積極的に使います。
ドテラジャークが効くタイミングと魚種
ブリ
- ベイトが潮に乗って流れているとき
- 朝マヅメや夕マヅメの潮替わりタイミング
- 低活性時に、フォール主体の誘いが効果絶大
マグロ
- 小型〜中型の群れに対して特に有効
- ナブラが立っていないとき、沈んだ魚を拾える、魚探に出るのは50m付近はよく見ます!
- イワシやサバ系ベイトに着いている時が狙い目 ジグもロングが相性が良い
潮流がしっかり効いている状況、もしくは二枚潮でジグを自然に漂わせたい状況で、ドテラジャークは特に効果を発揮します。
実釣から学んだドテラジャークのコツ
コツ1:”船速”を意識する
- 船の流れが速い=ジグの動きも速くなる
- フォールを意図的に長く取ることで食わせの間を演出
コツ2:”ジグを潮に乗せる”イメージ
- 無理にシャクらず、潮に漂わせるように操作する
- 大きく煽って、フワッと落とす
コツ3:”ライン管理”を徹底する
- ラインが出すぎるとバイトに対応できない
- ライン角度を45度をキープできるジグのウェイトをチョイス
- 常にテンションを意識し、即フッキングできる準備を
北海道近海でのドテラジャーク体験談
【ブリ編】
積丹沖でのブリジギング釣行。通常のバーチカルジギングでは全く反応がない状況。ドテラ流しに切り替え、200gのセミロングジグでドテラジャークを開始。
大きく煽ってフワッとフォールさせた瞬間、ガツンと衝撃が走る。上がってきたのは90cm超えの見事な寒ブリ。その後も連発した。
ブリは早いジャークに反応することが多いです。ジャカジャカ巻きからのステイは何度も拾っています。私の十八番になっています。しかし、早いジャークに反応しない時はスローが良い場合が多いです。
水深が深くても水平になるように思われていますが、水平にジグがヒラヒラということはないと思っています。基本上下に動いていると推測しています。
理由は、水深が深くなるほど、ジグは「ヒラヒラ」と横に倒れるような動きは弱くなり、どちらかというと「上下にストンストン」とした挙動になります。
潮圧、水圧などがかかるので「縦に落ちて、縦に跳ねる」その境は次のように思っています。
水深帯 | ジグの挙動イメージ | 有効な操作 |
---|---|---|
~30m | ドリフト+ヒラヒラフォール | 緩急をつけたドリフト操作 |
30~50m | ヒラヒラ→縦移行ゾーン | ジャーク→テンションフォール |
50~80m | 縦運動主体 | ジャカジャカ巻き、ピッチジャーク |
80m以上 | ほぼ完全縦 | 重いジグでドスンと落としてリアクション |
サクラマスなどのジギングでは30m程度なので水平になる。ヒラヒラと落ちる。
【マグロ編】
昨年、マグロはトップにはなかなか出てこない日が多く、沈み気味だったマグロの群れを、ドテラジャークで広範囲に探った結果、見事ヒットに持ち込むことができました。私はではない(笑)。
この時の水深は250mで50m〜70mでソナーに反応がありました。電動リールのオートジャークで誘っていたのですが、その置き竿にヒットするとフッキングには至らずという感じでしたので、同船者にもジギングに変更し、ヒットからの47kgを見事にキャッチ!
翌日も沖に出たのですが、トップはさむい状況でジギング開始でヒットするもフックを伸ばされてフックアウトという結果でした。この時から「ドテラジャークの有効性」を確信しました。
この時の状況は、水深は250mで50m〜70mでソナーに反応あり、200gのジグを投入しました。ラインの払い出しは100mくらい、ライン角度は45度くらいだったのでドンピシャの70mだったばすです。
私のドテラジャークはラインの角度を45度に保つことを基本としています。ライン角度が30度であれば、ジグの重さを軽くする。60度であればジグを重くする。
ナブラ待ちに頼らず拾えるこの釣法の力を改めて実感しました。
まとめ
北海道近海のブリ・マグロを狙う上で、ドテラジャークは間違いなく強力な武器になります。潮の流れ、船の流れ、ジグの動きをリンクさせることで、通常のジギングでは攻略できない状況も打開可能なはずです。
“自然に馴染ませ、自然に食わせる”――これがドテラジャーク最大の魅力。
7月に入ればブリの声が聞こえてきます。今年は7月初旬はマグロができるので楽しみです。昨年は規制が入っていましたからね。とはいえ、3,4日で規制の5トンになってしまうので初旬が勝負です!