6月上旬。積丹半島にもついに”あの魚”の便りが届いてきました。
そう、ブリ。北海道における夏の風物詩、そしてアングラーにとっての興奮の的。例年は6月下旬から7月にかけて本格化するこのターゲットですが、2025年はやや早めの足音が聞こえてきています。
ただし――ここ数年、ブリの“着き方”にはある変化が見られます。そう、「深い」。
私自身の経験としても、以前より水深が20mほど深い場所でヒットすることが増えてきました。今回は、私が積丹で初期ブリを狙う際に実践している”水深・ライン・戦略”をまとめておきます。これから挑む方の参考になれば幸いです。
◆ 初ブリの報、そして違和感「今年もやっぱり深いぞ」
2025年6月某日。知り合いの遊漁船から初ブリの釣果報告が届きました。サイズは6kgクラス、食ってきたのは水深90mライン。ジグは150g前後のセミロング。
「やっぱり深いな」
このひと言が、今年の戦略を決定づけます。
積丹のブリは例年60m〜80mラインがメインとされてきました。しかし最近は80〜100mでのヒット報告が増えています。魚探での反応もボトム寄りが多く、いわゆる”中層サスペンド”タイプは減少傾向。海水温の構造変化や、ベイトの位置が影響している可能性があります。
◆ PE1.5号の意味|沈下速度と操作性のバランス
私がこの深場傾向に対応するために選んだのが、PE1.5号という選択です。これはスピニングでもベイトでも共通の設定。
理由はシンプルで、
- 沈下速度が早く、ボトムに素早く届けられる
- ジグの動きがキレすぎず、適度に抑えられる
- ファイト時の安心感も残せるギリギリの強度
という絶妙なバランスを持っているからです。
これに対してPE2号以上だと、ジグが跳ねすぎてしまい、特にフォールの質が崩れやすくなります。逆にPE1.2号以下では、魚の突進やラインの擦れに不安が残ります。
私のリーダー設定は5〜7号。長さは1.5ヒロ前後。あくまで自然に沈下させ、かつ根ズレにも対応する太さと長さを意識しています。
乗り合いだと細すぎると言われる可能性があるので、事前に確認をしておいてください。
◆ ジグと操作の組み立て:深場対応モデル
◾ 水深60〜70m
- 使用ジグ:100〜120gのショート〜セミロング
- 操作:着底→ハーフピッチ→2アクション→フリーフォール
- 有効カラー:ゼブラグロー、シルバー
このレンジでは、まだ活性が高ければ横方向のスライドも効きます。ポイントは「止める」こと。反射食いを誘うには動きの緩急が重要です。
◾ 水深80〜100m
- 使用ジグ:150〜200gのセミロング〜ロング
- 操作:着底→1ピッチ→フワ巻き→テンションフォール
- 有効カラー:グロー+ホロ、ダーク系(曇天時)
この深さになると、ベイトの質も変わり、ブリの捕食スタイルも”縦”になります。縦方向のリアクション=落ちてくるものに喰いつく。そのため、フォールに入る瞬間が勝負です。
ジグがストンと落ちると見切られるので、テンションをかけたまま、ややフワッと沈める。この微妙な操作が釣果を分けます。
◆ 初期ブリ攻略の“引き出し”
私が初期ブリ釣行で持っていくジグは、主に以下の3タイプです:
- ショートジグ(100〜120g):ベイトサイズが小さいときや、潮が効いていないときのスローな誘いに。
- セミロング(130〜160g):初期万能型。フォールとアクションのバランスが良い。
- ロングジグ(180〜200g):潮が速く、魚が底ベタに張り付いているときに使う”突破力”。
これに加え、カラーをグロー・ゼブラ・ブルピン・シルバーとローテーション。朝マズメはグロー、日中はシルバー・ナチュラルが有効です。
◆ 最後に:釣れる魚ではなく、喰わせる魚を獲る
初期のブリは”気配”が薄い。ナブラも少なく、魚探の反応も気まぐれ。
でも、だからこそ「釣れた」ではなく「喰わせた」1本の価値がある。
深いレンジを探り、ラインとジグのセッティングに気を配り、微細なアタリを拾う。その積み重ねで得られるブリの1尾は、何よりも記憶に残る魚になります。
積丹のブリは、もう始まっています。
あなたのタックルボックスに”引き出し”はそろっていますか?
今年も、いい1本を。