どんなルアーが好きですか?
釣り人なら誰しも「これは外せない」というルアーがあるはずです。
ケースの中に必ず入っていて、困ったときに手が伸びるルアー。釣行に行く前の準備で、どんなに悩んでも結局最後はボックスに忍ばせるルアー。
それこそが“鉄板ルアー”と呼ばれる存在です。
もちろん、誰にとっても同じルアーが鉄板になるわけではありません。釣りのスタイルや好み、地域や季節によって信頼するルアーは大きく変わります。だからこそ、自分の釣りに合った鉄板ルアーを見つけることが何より大切なのです。
今回は、私自身の鉄板ルアーの話を中心に、ルアー選びや基準づくりの重要性についてお話ししていきます。
鉄板ルアーとは何か?
鉄板ルアーというと「必ず釣れるルアー」と思われがちですが、実際には少し違います。
釣果だけでなく、安心して投げられること、信じて操作できることが鉄板ルアーの条件です。
信じられないルアーを投げても、操作が雑になったり集中力が切れたりします。逆に「これなら絶対釣れる」と信じられるルアーは、キャストからリトリーブまで自然と丁寧になるのです。
つまり鉄板ルアーとは、釣果を支える精神的な支柱でもあります。
私の一軍ルアーたち
では、私自身が信頼しているルアーを紹介しましょう。
- サクラマス用:サイレントアサシン
- 青物用:キングスラッシャー
- ビッグゲーム用:ヘッドディップ
どれも何度も結果を出してきた、大切な相棒たちです。
もちろん他にも試してきたルアーは大勢ありますが、最終的に「釣れる気がする」という安心感で残ったのがこのラインナップ。
トップゲーム用のミノーやプラグは、自分の目で泳ぎを確認できます。水面直下でのアクションを見て「これは釣れそうだ」と直感した瞬間、信頼が芽生えますよね。
一方でジグは水中の動きが見えません。だからこそ、想像力や過去の経験を積み重ねて信じるしかないのです。
キングスラッシャーで仕留めたブリ
ここで、今シーズンの実体験をお話しします。
私はキングスラッシャーですでに3本のブリをキャッチしました。使用したのは135gと150g。どちらも潮にしっかり乗るタイミングで、狙い通りの釣果を出してくれました。
共通していたヒットパターンは、ジャークからのステイでのバイト。
動きから止めに移る瞬間に食ってくるあの感覚は、やはりブリらしいアタックだと感じます。
潮の速さによっては120gから180gまで使い分けますが、結局のところ自分の中で最も信頼できるのは135gと150g。重すぎず軽すぎず、潮の乗り方がちょうどいいのでしょう。
ただし、潮が速すぎてキングスラッシャーがバタついたり、ステイで違和感を覚える場面もあります。そんなときに助けてくれるのがイージーペブルやスピードスラッシャーです。
- イージーペブルはセンターバランス。長いステイが効く場面で頼りになる存在。先日の釣行でもフックアップには至りませんでしたが、バイトは明らかに反応していました。
- スピードスラッシャーはリアバランスで、潮が速いときに最速でボトムに着底。ブリとのファーストコンタクトを生み出してくれる強力な武器です。
このように複数のルアーを状況によって使い分けることで、今シーズンは好調を維持できています。
三軍ルアーが一軍に変わる瞬間
釣りの面白いところは、必ずしも信頼していたルアーが釣れるとは限らないということ。
「なんとなく投げた三軍ルアー」で釣れてしまうことはよくあります。
一度釣れた瞬間に、そのルアーは三軍から一軍へと昇格します。
それまで信頼していなかったのに、1本釣っただけで突然ボックスの主役になる。こういう昇格劇こそが、釣り人にとってのドラマなのです。
そして不思議なことに、釣れなかったときの1軍ルアーは「潮が悪い」「ベイトがいない」「風が悪い」と言い訳を探すのに、釣れたときは「やっぱりこのルアーが最強だ」と胸を張る。
この気持ちの変化もまた、釣り人らしさだと思います。
妄想は最大の武器
先日参加した湯川マサタカさんのトークイベントで、とても心に残った言葉があります。
「水中でどう動いているかを想像しながら操ること。それが釣果を分ける」
トッププロが「妄想が大事」と言うのですから、私たちアマチュアもなおさら必要です。
妄想はバカにできません。むしろ、水中が見えない以上、想像力が唯一の武器なのです。
「今この瞬間、ブリがジグを追ってきている」と信じることで、操作に間を入れたり、スピードを変えたり、結果的に自然な誘いが生まれます。
ログをつける重要性
湯川さんは「20年前までは必ずフィッシングログをつけていた」と語っていました。
日付、潮回り、ヒットルアー、天候、全て記録し、時間を経て見返すことで基準が育っていくというのです。
私自身もログをつけていますが、人間の記憶は曖昧です。
つい最近のことと思っていたら、実は10年前の話だったなんてこともざらにあります。
だからこそ、釣りの基準を作るには記録が必要なのです。
魚は色を見ているのか?
科学的な研究では、魚がどの程度色を認識しているかについてはまだ完全には解明されていません。しかし論文などから予測できることがあります。
- 水深20m以内では色を認識している可能性が高い
- 20mを超えると色は消え、シルエットで判断している
- 赤色は真っ先に消える
この基準を持っておくと、釣りの戦略は変わります。
サクラマスや鮭狙いならカラーは重要。逆に深場のブリやマグロでは形状や動きに重点を置くべきでしょう。
基準を持つことがスキルアップにつながる
釣りの上達で一番大切なのは「自分の基準を持つこと」です。
人の真似をするのも悪くありませんが、タックルも操作も人それぞれ違います。
他人の情報をそのままコピーしても、必ずしも自分にフィットするわけではないのです。
大事なのは、
- 自分の鉄板ルアーを信じること
- 釣果や失敗を通じて基準を更新していくこと
- データや経験を重ねて判断力を磨くこと
こうして「自分だけの基準」を持つことが、釣りのスキルアップにつながります。
まとめ:あなたの基準ルアーを見つけよう
最後に改めてお伝えしたいのは、釣りは自分との対話だということです。
- 一軍と三軍のルアーが入れ替わる瞬間を楽しむ
- 妄想を最大限活用する
- ログを残し、基準を育てる
- 他人の情報は参考にするが、主役は自分の基準
そして何より、釣れなかったときの言い訳すらも、釣り人の成長の一部です。
あなたのタックルボックスに眠るルアーの中で、本当に信じられる一本はどれでしょうか?
ぜひ、自分の基準ルアーを探してみてください。