マグロキャスティングは1年前から始まっている一般人が知らない釣り人の常識

クロマグロ
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「今年こそクロマグロを釣り上げたい」そう意気込んで釣具屋に向かっても、目当ての道具は一つも揃わない。それが今のマグロゲームの現実です。これからこの釣りを始めようとしている人に、現場の人間としてまず伝えたいことがあります。

それは、今日思い立って来月から始められるような釣りではないということ。 マグロのすさまじい引きに耐えるハイエンドのロッドや大型リールは、予約しても半年から1年待ちは普通です。シーズン直前になれば、実績のあるルアーや太いPEラインすら店頭から完全に姿を消してしまいます。 

初めてマグロキャスティングを始めるには準備期間をしっかりと作らなければなりません。 私自身、長年かけて装備を徐々に揃えました。マグロキャスティングを行うには、その他の小物も一つひとつが高額になっています。

マグロは自分よりも重い相手にもなることがあります。1タックルで万一何かのトラブルになった場合は、もう釣りができない状況になってしまいます。そして、遊漁船の費用も高いです。その高い乗船料を支払って、もしそのタックルが使えなくなった場合は、傍観者で終わることになります。なので2タックルは欲しいところですが、2タックルとなると出費がさらに多くなってしまいます。

そうやって準備を重ねてマグロキャスティングに挑んでいるのが現状です。今回は、私がマグロと真っ向勝負をするために行っている「1週間に及ぶPEライン仕込み」と、新たな相棒となるリールの話をします。本気で海に向き合う覚悟があるなら、ぜひ最後まで付き合ってください。

クロマグロキャスティングは「1年前」から始まっている現実

道具はお金を出せばすぐ買える?

いざマグロを釣りたいと思い立っても、シーズン直前の釣具屋には目当ての品が並んでいないんです。 大型番手のリールや、それに合わせるキャスティングロッドは常に品薄状態。予約を入れても手元に届くのは半年後、ヘタをすれば1年以上先になることも珍しくありません。その地域のベストシーズンに間に合わないということもよくあります。

私の体験ではオシアプラッガー フルスロットル S82XH-3を買って1年間使わず眠っていました。シマノの発売時期が7月で発売が9月だったのですが、手元に届いたのは10月末でシーズンは終わってました(笑)。こんなことはよくあることです。

もちろん、実績のあるルアーやライン、高強度のフックも同じ。いざという時に買い足そうと思っても、どこにも売っていないという事態に陥ります。 お金さえ出せばいつでも道具が揃うというのは、この釣りにおいては完全に通用しない考え方です。

準備に時間と労力がスタートライン

つまり、今年の夏にマグロと戦うための準備は、去年の時点ですでに始まっていたということ。 道具の予約に奔走し、情報網を駆使して小物をかき集める。時間と労力が必要になってきます。そして、ようやく船に乗るためのスタートラインに立てるわけです。

私自身、この準備の大切さが骨の髄まで染み込んでいます。 準備を怠れば、いざという千載一遇のチャンスで絶対に泣きを見ます。だからこそ、1年がかりで道具を揃える執念が必要になってくるんですよ。

最高峰ラインの性能を100%引き出す

買ってきたままのPEラインはすぐには巻かない!

苦労して手に入れた最高峰のタックル。でも、それをそのまま組み合わせて海へ持ち出しても、なかなか最初はうまくいきません。思い通りのキャスティングは慣れが必要となります。陸でうまく投げれても船の上は想像以上に投げることが難しいです。

安定しない船上では、コツもあります。波の具合を見ながら投げたりと経験を積んでいけば意外に難しくはないのですが、最初は戸惑うことになります。ましてや目の前にナブラがあれば緊張度も高く、焦ってベールを返さないまま、キャストしたり、目測を誤って手前に落としたり、と普段では考えられないことをしてしまいます。安心してください、誰もが通る道ですから。

私が信頼して選んだメインラインはシマノの「オシア17+」の8号。信頼できるラインですが、買ってきたパッケージから直接リールに巻き取るようなことはしません。 ここから、私が新しいラインを下ろす際に行っている、1週間に及ぶ仕込みの話をします。

水没から始まるコーティング抜きの工程

買ってきたばかりのPEラインには、製造時の糊や余分な染料がついていて、特有の硬さがあります。これをまずは、ぬるま湯や水に丸1日じっくりと漬け込みます。 目的は、繊維の隙間に詰まったコーティング等をふやかして抜き取ること。これを行うことで、ラインが本来持っているしなやかさをしっかりと引き出してやります。この後、重しを乗せて完全に水没させます。

部屋の隅で数日間かける完全乾燥

水から上げたラインは、今度は3〜4日かけてじっくりと乾燥させます。北海道の春先はまだ冷え込む日も多いので、ストーブを焚いた部屋で乾かしていくわけです。 ここで絶対にやってはいけないのが、ストーブの熱風を直接当てること。PEラインは熱に非常に弱い素材です。だからこそ、部屋の隅の日の当たらない、常温の場所に置き、時間をかけて繊維の奥の奥まで水分を完全に飛ばしきります。

日数工程目的と注意点
1日目水没ぬるま湯や水に丸1日漬け込む。製造時の余分なコーティング糊や染料を抜き、ライン本来のしなやかさを引き出す。
2〜4日目完全乾燥常温で3〜4日かけて繊維の奥までカラカラに乾かす。※PEは熱に弱いため、ストーブの熱風や直射日光は絶対に避けること。
5〜6日目コーティング完全に乾いたラインに「PEにシュッ!やスーパーシリコンスプレー」を吹きかけ、水性ベースの溶剤を繊維の最深部までじっくり浸透・定着させる。
7日目リールへ巻き込みスプレーをこまめに吹きかけながら(冷却・潤滑)、数キロ単位の高テンションでリールにカチカチに巻き取る。糸噛みを防ぐ最強のスプールが完成。

熱ダメージをゼロに抑え、限界まで巻き込む高テンション戦略

プロ仕様のコーティング剤を深部まで浸透させる

完全に乾ききったラインに、今度は専用のコーティング剤を吹きかけます。私が使っているのは、速乾性のタイプではなく、乾くのに時間がかかるプロ仕様。 速乾性がない分、時間をかけて極細繊維の奥深くまで成分が入り込み、強靭な保護膜を作ってくれます。数日かけて完全乾燥させたのは、このコーティング剤を水分に邪魔されず、100%吸い込ませるため。ここまでの手間をかけるからこそ、極限の負荷に耐えられるラインに仕上がるはずです。確証はないので悪しからず(笑)。

冷却と潤滑を両立させた極めて硬いスプール作り

そしていよいよ、リールのスプールに巻き込んでいきます。マグロがヒットしてドラグが激しく出たとき、糸が下の層に食い込んで切れる「糸噛み」を防ぐために次の方法で巻いて行きます。

最初の70mから100mは推定6kgくらいを目標に巻きます。一般論としてドラグ力の20%から30%が教科書の教えです。ステラSW18000HGのドラグ力は30kgなので本来であれば6kgから9kgくらいはかけたいですが、Xテンショナーの最大が5kgなので少し工夫して6kgで巻いて、その後は徐々に緩めて仕上げていきます。

そして、乾いたPEラインに強いテンションをかけると、摩擦熱であっという間に劣化してしまいます。そこで、リールを巻く際には、速乾性の高いコーティング剤(KURE スーパーシリコンスプレー)を吹きかけながら巻いていくわけです。液剤が潤滑と冷却の役割を果たしてくれるので、熱によるダメージを抑えながら、実戦でトラブルを起こさないようなことをやれるだけのことをして準備します。

限界を突破する相棒「26ステラSW」の真価と今後の戦略

あえて25g重くなったシマノの本気と覚悟

この完璧に仕込んだラインを託す新たな相棒が「26ステラSW 18000HG」です。これで既存の20ステラSWと合わせて、状況に応じて瞬時に持ち替えられる盤石の2台体制が整います。 新しいリールのスペックを見て、シマノの本気に思わず唸りました。

20ステラSW 18000HGの自重が875gだったのに対し、26ステラSWは900g。軽量化が当たり前の現代において、あえて25g重くなっているんですよ。 その答えは最大ドラグ力にあります。20ステラの28.0kgから、26ステラはついに30.0kgの大台に乗りました。

25gとは到底思えないほどの重量感です。リールを回しても感じる重みを実感しています。

この規格外の負荷を受け止め、巨大な魚をねじ伏せるためのボディ剛性やギアの大型化に、この25gがすべて注ぎ込まれている。まさにマグロを獲るためだけの、信頼の25g増です。本当かどうかはわかりませんが、シマノへの信頼は高いので安心です。

25000番スプール追加による未踏の領域へ

実は、この18000HGのボディには、さらなるモンスター仕様への布石を用意しています。それはまだ未発売の「25000番スプール」を追加購入する計画です。 オシア17+の価格を調べていて驚いたのですが、8号も10号も、さらには12号も、ネット価格で約13,000円と同じ金額でした。

太くなっても市場価格が変わらないなら、25000番スプールには予算を気にせず最強のセッティングが組めます。 12号を約250〜260m(推定)入れて絶対的な強度で強引に勝負を決めるか。現場の状況を想像しながら戦略を練る時間も、この釣りの醍醐味です。これで本場の海峡へも出っ張れます!

1年前から続く果てしない準備と、1週間に及ぶライン仕込み。効率だけを考えれば無駄に思えるかもしれませんが、極限の海ではこの小さな手間の差が、一生に一度の大物を獲るか逃すかの決定的な差になります。

苦労して揃えた道具と、時間と手間をかけて仕込んだライン。これらを持って最高の釣果に恵まれれば良いと思っていますが、それが今年になるか、来年になるかわかりませんがそれこそがマグロの醍醐味です。

Q
これからクロマグロのキャスティングゲームを始めたいのですが、道具はすぐに揃いますか?
A

いいえ、すぐには揃いません。準備は「1年前」から始める必要があります。 大型番手のリールやキャスティングロッドは常に品薄状態で、予約しても半年から1年以上待つのが普通です。シーズン直前になると実績のあるルアーや太いPEラインすら店頭から消えてしまうため、お金を出せばすぐ買えるという考えは通用しません。

Q
買ってきた新品のPEラインを、そのままリールに巻いてはいけない理由は何ですか?
A

製造時の糊や余分な染料がついており、ライン本来の性能(しなやかさ)が発揮できないためです。 筆者は、ぬるま湯や水に丸1日漬け込んでコーティングを抜き、3〜4日かけて完全乾燥させた後、プロ仕様のコーティング剤を深部まで浸透させるという「1週間に及ぶ仕込み」を行ってから、極限の負荷に耐えうる最強のラインに仕上げています。

Q
新発売の「26ステラSW 18000HG」は、旧モデル(20ステラ)より25g重くなっていますが、これは性能が落ちたということですか?
A

いいえ、むしろマグロをねじ伏せるための「進化(剛性アップ)」の証です。 軽量化が当たり前の現代において、あえて25g重くなったのは、最大ドラグ力が28.0kgから30.0kgの大台に乗ったためです。規格外の負荷を受け止めるためのボディ剛性アップやギアの大型化に、この25gが全て注ぎ込まれています。

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