ジギングを始めるにあたり、まず直面するのが「どんなタックルを選ぶか?」という問題。スピニング?ベイト?そして、最も悩ましいのが「ジグの重さをどう決めるか?」です。
積丹エリアでメインターゲットとなるのは、サクラマス・ブリ・マグロ・サケ。その中でも今回は「ブリジギング」をメインに、ジグウェイトの選定基準と、バーチカルとドテラ流しの違いを詳しく解説します。
ジグの重さは「船の流し方」で大きく変わる!
積丹周辺の遊漁船では、以下の2つの流し方が主流です。
バーチカル(縦の釣り) ほぼこちらの船の立て方が多いです!
- 船を風に立てて、ラインを垂直に落とすスタイル。
- スパンカーや操船技術により、船を一定方向に維持。
- 左右の舷に釣り人を配置できる。
- ジグはまっすぐ落ちるため比較的軽量(120g〜160g)でOK。
● 基本スタイル
- 船を風上に立てて固定することで、ラインが真下に落ちる釣法。
- スパンカー、シーアンカーなどやエンジンを利用して船の流れをコントロール。
● 操船のポイント
- 潮に対して風を受けて立てることで、ジグがまっすぐ沈下。
- ジグが真下に落ちるため、ライン角度は限りなくゼロに近い。
船首から船尾まで全員が釣り可能で、多人数乗船時にも対応しやすい。
メリット | デメリット |
真下に落ちるので棚が正確に取れる | 探れる範囲が狭い |
軽いジグでも棚に届きやすい | 潮の流れが弱いとジグが動かない |
操作がシンプルで初心者に優しい | 魚が浮いていると探しづらい |
ドテラ流し(横流し)
- 船を風や潮に任せて流す。
- ラインは斜めに払い出され、ジグも斜めに沈む。
- 片方の舷にしか釣り人を配置せざるえない。両方でやる場合は、ジグウェイトで調整。
- 広範囲を探れる反面、ライン角度が大きくなりやすく、重めのジグ(150g〜300g)が必要。
● 基本スタイル
- 船を風と潮に任せて流す操船方法。エンジンを切ってドリフトさせる。
- ラインは斜めに出ていき、ジグは斜め方向に流れていく。
● 操船のポイント
- あえてラインが斜めになる状況を作り出す。
- パラシュートアンカー(シーアンカー)を使用して流れを制御することもある。
釣り人は右舷または左舷どちらかに並んで釣ることが多い。
メリット | デメリット |
広範囲を探れる | ジグが棚に届かないことがある |
ジグが斜め方向にスライドして演出が自然 | ライン角度がつきすぎて感度が落ちる |
群れを追いかけずに流しながらヒットを拾える | 重たいジグが必要になることが多い |
バーチカルとドテラでのジグの動きの違い
【バーチカルジギング】
- ジグは垂直に沈下。
- 潮が弱いとフォール姿勢が不自然になりがち。
- 水深50mでは6気圧の水圧がかかり、ジグのアクションが鈍る。
- 有効なのはショート〜セミロングジグ、シャキッとした縦ジャーク向き。
【ドテラ流しジギング】
- ジグは斜めに引かれ、ベイトライクな横移動になる。
- 広範囲に探れるだけでなく、潮受けでスライドやヒラヒラ感が出しやすい。
- ロングジグとの相性が抜群で、自然な“逃げるベイト”を演出。
- マグロジギングではフォールでのバイト狙いが主流。
ライン角度と指示棚の関係
例えば魚探に水深50mに反応があったとします。ライン角度によって、ジグをそこに届けるには以下のようなライン長が必要になります。
ライン角度 | cos(θ) | 必要ライン長(50m棚) |
30度 | 約0.866 | 約58m |
45度 | 約0.707 | 約71m |
60度 | 約0.500 | 約100m |
角度がつけばつくほど、ラインは多く出す必要があり、ジグが軽すぎると届かない問題が発生します。だからこそ、ドテラでは最低150g、潮によっては250g以上のジグが求められるのです。
バーチカルとドテラの特性
【バーチカル】
ジグ↓
|←ライン垂直
|
|
魚の視界:上下の動きのみ
【ドテラ】
ジグ↘
\(ライン斜め)
\
\
魚の視界:横からスーッと流れてくる → ベイトっぽく見える
項目 | バーチカルジギング | ドテラ流し |
ライン角度 | 垂直(0度) | 斜め(30〜60度) |
水圧の影響 | 強く受ける(動きが抑えられる) | 分散される(アクションが出しやすい) |
ジグの動き | 上下の直線運動 | 横方向のスライド&フォール |
向いているジグ | ショート〜セミロング | ロングジグ・センターバランス系 |
ウェイト目安 | 120g〜160g | 150g〜300g(潮によっては400gも) |
ジグの重さは「船の流し方」で変えるべし!
ドテラ流しはジグに角度を与えることで広範囲サーチ+食わせの演出が同時に可能。その分、ライン角度や潮流に合わせてジグウェイトを変える必要があります。
特に積丹のようなブリやマグロが狙えるフィールドでは、「ジグが届いていない」ことがボウズの原因になっているケースも多いのです。
私の釣行スタイル
- ドテラ流しがメイン(シーアンカー積載済)
- 実釣では160〜250gのロングジグが基準
- 潮が1ノット以上流れる場合、ライン角度45度以上もざら
- ラインコントロール・角度補正の意識が釣果に直結
- 実釣時、ライン角度が45度を超えていたらジグは届いていない可能性大(ウェイトアップ)
- 潮の変化・船の流れを感じながら、ライン出しと角度補正が釣果を分ける
- ジグは重い=動かない、ではなく、動かし方次第で“食わせ”は作れる
豆知識
船長は潮が何ノット位で流れているのかある程度把握しながら流しています。5倍すれば大体10秒間に進む距離(m)がわかります。0.5ノットなら 0.5×5=2.5 10秒あたり、約2.5m流れるという計算になります。
全く風がなく、潮も止まっている状態だと0.1とかであればドテラ流しといっても流れませんが、積丹では年に数回しかありません、0.5ノット以上がいつも通りって感じです。風と潮で2ノットになったりもしますが、そうなると私の小さな船では即刻帰郷です。