SHIMANO主催のドリームツアーに参加させてもらい、つくづく感じたことがあります。この記事では、その特別な時間を振り返りながら、「釣れるとは何か」「操船とは何か」について自分なりの気づきを綴ってみたいと思います。
「船だから釣れる」と思っていませんか?
「船だから釣れるんでしょう?」
これ、船釣りをしたことがない方からよく聞く言葉です。確かに、ホッケ、ソイ、ヒラメといった魚種であれば、積丹の海なら比較的どこにでもいるため、操船に大きな技術を要せずとも釣果に繋がることもあるでしょう。私のような素人の操船でも、ある程度釣れます。
積丹半島では漁礁という場所は古平近くに2つあるだけです。多少の起伏はある所は複数ありますが、公開されているような場所は存在していないと思います。各船長が
しかし、回遊系の魚、たとえばブリやマグロはそうはいきません。彼らは「場所に着く魚」ではなく、「通り道を読む魚」。つまり、回遊してくるコースやタイミングを読んで「出会いの瞬間」を狙わなくてはならない。そこに必要なのが、操船技術と経験、そして読みです。
船長の頭の中には“3D地形図”がある
ドリームツアーでご一緒させていただいた船長の操船は、まさにプロの技そのものでした。潮、風、地形——それらを立体的にとらえ、「いま魚がどこにいるか」「ルアーがどう動くか」をリアルタイムで判断していく姿には、言葉では言い表せない説得力がありました。
特にドテラ流しでは、ピンポイントで流す位置や方向が釣果を左右します。風向きは16方位で表されますが、実際の現場ではそれ以上に複雑です。そのうえで潮がどの方向からどんな強さで流れているのか、海底の起伏がどう影響するのかを読み、ルアーの動きまで計算して船を流す——まさに「釣らせる操船」でした。
「潮を噛ませろ」——プロの一言が生きる瞬間
釣れない私に、船長やインストラクターの鈴木斉さんが、何度も声をかけてくださいました。
「今はこっちから潮がきてる。向こう側に投げて!」
その一言で、ルアーが潮をしっかり噛み、綺麗にヒラを打ち始めるのが分かるのです。その様子を見て、「うまそうなニシンだな」と本気で思ったほど(笑)。
そうしたリアルな演出が魚を惹きつける——ルアーの性能だけではなく、「潮を利用して演出する」というテクニックがいかに大切か、現場で実感しました。
“撮れ高”のプレッシャーと向き合う
普段の釣行では「釣れなくてもOK」というスタンスの私ですが、今回は少し違いました。鈴木斉さん、熟練の船長、そして3名のカメラマンが常に支えてくださる中で、「何としても釣るシーンを届けたい」と思ってしまったのです。
キャストの姿勢、ルアーの通し方、アクション……ひとつひとつを意識するあまり、思わず力が入りすぎていたかもしれません。
先にヒラマサを釣り上げたのは——
今回のもう一人のゲストは秋田から参戦された女性アングラー。しっかりとしたキャストフォームで、見事にヒラマサをヒットさせていました。
その瞬間、「さすがだな」と感心すると同時に、「あとは俺が釣るだけ」という絶妙なプレッシャーが生まれました(笑)。今思えば、これほど“痺れる”状況で釣りができたこと自体が、最高の経験です。
終わりに:夢のような時間が教えてくれたもの
SHIMANOドリームツアーは、釣りの技術やタックルの良さを体験するだけではありませんでした。操船の奥深さ、現場の緊張感、釣ることへの情熱、そして人とのつながり——すべてが詰まった濃密な旅でした。
釣果を超えた“収穫”がありました。これからの釣り人生に、大きな糧となる3日間でした。関係者の皆様、本当にありがとうございました。