春の訪れとともに本格化する、積丹エリアの海サクラマスゲーム。釣具屋のルアーコーナーには色とりどりのミノーやジグが並び、アングラーの心を躍らせます。ついつい買っちゃうんですよね、釣具屋さんを歩いていると…。
まさにリアクションバイトです。魚の気持ちがよく分かる〜、見ると欲しくなる。ついつい口を使う、ついついpaypay残高確認しちゃう! 追い打ちかけるように40%引きのシール・・・。ジグは新商品のシックスライド、パッケージが変わっているので初めはシマノだとわからなかった(笑)。

今回はフックを仕入れるためだけに立ち寄ったはずなんですけどね(笑)。さて、あなたは新しくルアーを買った時〜
新しくルアーを買った時、プラスチックのパッケージ(箱)をどうしていますか?おそらく多くの人が、ルアーを取り出した瞬間にゴミ箱へ直行させているのではないでしょうか。もしそうだとしたら、それはあまりにももったいない行為です。
特にシマノのルアーパッケージには、単なる商品説明ではなく、開発陣からの「このルアーはこういう環境で、この速度で巻いてくれ」という強烈なメッセージ、つまり真の取扱説明書が隠されています。今回は、私が愛用するサイレントアサシン140Sを例に、パッケージの数字を読み解き、釣果を倍増させるマニアックなリールの使い分けについて解説します。
「流速スペック105cm/秒」をリールのギア比で翻訳する
C3000XGがもたらす基準の巻き速度
サイレントアサシン140Sのパッケージ裏面を見ると、「流速スペック 105cm/秒〜」という見慣れない数字が記載されています。これは簡単に言えば、「1秒間に105cm以上の水流をルアーに当てないと、本来のキレのあるアクションが出ない」という意味です。はやっ!って思ったでしょう(笑)。
この数字を、私たちが普段使っているリールのギア比に翻訳してみましょう。 私がサクラマスゲームで多用するシマノのC3000XG(エクストラハイギア)というスペックは、カタログ上のハンドル1回転での最大巻上長が94cmです。つまり計算上は、1秒間にハンドルを1回転と少し(約1.1回転)のペースで巻けば、ルアーは水中で105cm/秒の水流を受け、完璧な泳ぎを披露してくれることになります。
しかし、現場のリアルな感覚では実際は少し違っています。最大巻上長というのは、スプールに糸が満タンに巻かれている時の数字です。実際にフルキャストして糸フケを入れると、90mくらいはスプールからラインが放出されます。するとスプールの直径(巻き取り径)が小さくなるため、1回転あたりの巻き取り量もカタログ値より減ってしまいます。そのため、遠くにあるルアーにしっかり水流を当てるには、実際には約1.1回転よりもさらに早く巻かなければなりません。
波が穏やかな凪の日や、潮の流れが緩い状況下では、このC3000XGを使って自分からルアーをしっかり引っ張り、アクションを起こして誘うのが基本の戦略となります。
あえて2500S(ノーマルギア)を投入するマニアックな理由
では、常にXG(エクストラハイギア)を使えばいいのかと言うと、現場はそう単純ではありません。潮がガンガン効いているポイントや、離岸流が強く発生しているような状況下では、私はあえて2500S(ノーマルギア)のリールを投入します。
2500Sのハンドル1回転の巻上長は75cmです。これで105cm/秒を出そうとするとかなりの早巻きが必要に思えますが、実はここに現場の「潮の流れ」を計算に入れます。
突然ですが、皆さんはこのブログのタイトルをご存知でしょうか。「潮を読む。風を感じろ!」です。大分偉そうなタイトルですが、私が現場で常に一番気にしていることをそのまま言葉にしました。今までもブログのタイトルが突然変わったりしたことがあったと思いますが(笑)、しばらくはこの言葉が一番しっくりきています。
まさにこのタイトルの通り、潮を読まなければならない場面があるのです。強い潮の流れの中でダウンクロス(潮下)に向かってキャストした場合、ルアーはアングラーがリールを巻かなくても、勝手に強い水流を受けます。この状況で巻上長の長いXGを使ってしまうと、ルアーが過剰に水流を受けすぎてバタバタと暴れ回り、目の良いサクラマスに見切られてしまいます。
だからこそ、あえて巻上長の短いノーマルギア(2500S)を選択し、リールで巻くのではなく「潮の流れにルアーを乗せて漂わせる(ドリフトさせる)」のです。絶妙にアクションが破綻しないギリギリのテンションを保ちながら、ネチネチと潮目を攻め続ける戦略です。
2500Sのドラグ力不足を解消する「禁断の裏技」
スプール互換性を利用したドラグ9kgの錬金術
ここで、リールのスペックに詳しいアングラーなら一つの疑問にぶち当たるはずです。 「サクラマスの強烈な突進を止めるのに、2500Sの実用ドラグ力2.5kg(最大ドラグ力4kg)では弱すぎるのではないか?」という疑問です。
おっしゃる通り、そのままの2500Sでは大型の海サクラマスを相手にするにはドラグ力が心許ありません。しかし、ここからがシマノ製リールの本当に面白いところであり、私がカタログを穴が空くほど見つめ続け、シマノをやめられない理由でもあります。
実はシマノのスピニングリールは、2500番とC3000番でボディ(ローター)のサイズが共通化されています。そして、ドラグの強さというものはリール本体ではなく「スプール側」に備わっている機構なのです。
つまり、2500Sのボディ(ノーマルギア)に、C3000XG用のスプール(実用ドラグ力6kg / 最大ドラグ力9kg)をカチャッと取り付けるだけで、「ノーマルギアの巻き感やドリフトの恩恵はそのままに、ドラグ力だけを9kgに跳ね上げる」という禁断の裏技が完成します。スプール互換表を見ると分かりますが、この互換システムは最高峰のフラッグシップ機だけでなく、ツインパワーやストラディックなど幅広い機種で楽しむことができます。
その日の潮の状況や自分の気分に合わせて、スプールとギア比を現場でパズルのように組み替える。これぞルアーフィッシングの醍醐味です。
マルチスプール戦略 2ボディ・3スプール無双
| 導入クラス | ① 2500S本体(ノーマルギア) | ② C3000XG本体(超ハイギア) | ③ C3000XG替えスプール | システム合計投資額 |
| 中堅クラス (ストラディック等) | 約20,000円 | 約23,000円 | 約8,000円 | 約51,000円 |
| 最高峰クラス (ステラ等) | 約76,000円 | 約82,000円 | 約16,000円 | 約174,000円 |
「ステラでこの『2ボディ・3スプール体制』を組もうとすると17万円オーバーという恐ろしい金額になりますが、ストラディックなどの実戦派クラスであれば、5万円台で『春のサクラマス』から『秋のシャケ』までを完璧に網羅できる最強のシステムが完成します。
リールを3台も4台も買う必要はありません。2つのギア比(ノーマルとXG)のボディと、ドラグ力・糸巻量が違うスプールを用意するだけで、現場の状況に合わせて『XGボディ+2500Sスプール』や『ノーマルボディ+C3000XGスプール(ドラグ9kg)』といった変幻自在の組み合わせ(マルチスプール戦略)が可能になるのです。」
イカの場合は、2500Sが威力を発揮しますし、もっとも効果が発揮するのは、ズバリ!
ウキルアーなんです。夏には詳しく説明できるようにと思っています。いま、シャケの記事書いても忘れちゃうでしょう(笑)。
※ただし、ストラディックは2500SからC3000XGのスプールに変更しても1kgしか実用ドラグ力は上がりませんのでご注意ください。実用ドラグ力は3.5kgです。
「えっ、たった1kg?じゃあ駄目じゃん!」と思ったあなた! 安心してください。ドラグ力=対象ターゲットの重量ではないのです。
例えばクロマグロ。私が50kgのマグロを釣った時に使っていたステラSW14000番でも、カタログ上の最大ドラグ力は25kgなんですよ。でも、実際にはこの25kgのドラグ力をフルに掛けたら、人間である私の方が海に引きずり込まれてしまいます(笑)。最大が25kgあっても、実際のファイトでは私の肌感覚として、7kgから15kgくらいの間を状況に合わせて調整している感じです。
だからこそ、ドラグ力=対象魚の重量ではありません。この「実用ドラグ力1kgの底上げ」と「糸巻き量アップ」の恩恵は、一見地味に見えても、現場では途方もない武器になるのです。
71m先のゾーンへ届けるため
飛距離を100%引き出し、掛かった魚をバラさない準備
最後に、もう一度パッケージの数字を見てみましょう。「飛距離 71m」という圧倒的な数字が書かれています。
サクラマスゲームにおいて、波打ち際のブレイク(駆け上がり)のさらに奥、回遊ルートである沖の潮目にルアーが届くかどうかは釣果に直結します。
私も色々なルアーを投げますが、サイレントアサシンはじつによく飛びます。タイミングが悪いと失速する時もありますが、タイミングが合えばぶっ飛びます!アスリートも飛びますが、重量がそもそも重いので当然と言えば当然の結果なんです。

そして、沖で掛けた貴重なサクラマスを絶対にバラさないための最後の準備が、フックの交換(チューニング)です。
私は今回、新品のサイレントアサシンと一緒に、BKKの強靭な防錆トレブルフック(サイズ5)を購入しました。サクラマスの口は硬い部分と身切れしやすい柔らかい部分が混在しており、ファイト中のローリングで非常にフックオフ(バラシ)が多い魚です。純正フックでも十分ですが、自分のファイトスタイルに合わせた信頼できるフックに換装しておくことで、最後のランディング時の安心感が桁違いになります。

ルアーのパッケージを読み解き、ギア比を戦略的に選び、スプールを組み替え、フックを研ぎ澄ます。
春の海サクラマスは、ターゲットは決して簡単な相手ではありませんが、こうした泥臭くもロジカルな準備の積み重ねが、銀色に輝く魚体との出会いを確実に引き寄せてくれるのです。
