ケイムラ(蛍光紫=ケイコウムラサキ)は、紫外線(UV)を受けて発光する特殊な塗料で、海中では独特の「ボヤッとした青白い光」として魚に認識されると考えられています。以下に、水深とその“見え方”について詳しく解説します。
ケイムラが見える原理とは?
- 紫外線を浴びて可視光に変換して発光する素材
- 海中でも紫外線が届く範囲内であれば“青白く光る”
- 蛍光ではあるが、自発光(グロー)ではない → 光を浴びて初めて光る=“受け身の発光”
水深ごとのケイムラの見え方
水深 | 紫外線量 | ケイムラの見え方 | 備考 |
---|---|---|---|
0〜10m | 非常に多い | はっきり青白く発光 | 日中・晴天時に最大効果 |
10〜30m | 減少するが届く | ぼんやり光る | ケイムラの“残像感”で誘う |
30〜50m | 弱くなる | わずかに反応するか、ほぼ無発光 | 潮色によっては完全に沈黙 |
50m〜 | ほぼ届かない | 発光せず、白やグレーに見える | グローや黒の方が効果的 |
※曇り・濁り潮・夕方はさらに浅い段階で効果が落ちます。
魚からはどう見えているのか?
ケイムラが発光しているとき、魚の目には以下のように映っていると推測されます:
- サクラマス・マグロなどUV感知できる魚種には
→「ぼやっと発光する小魚」または「クラゲに似た柔らかい発光体」 - UV感知が弱い魚種(ブリなど)には
→ ただの淡い色、もしくはシルバーやパールのような見え方 - イカには?
→ 色は認識できないが、明暗差(発光と影)で「異物」として気づく可能性はある

ケイムラが“効く”シチュエーション
- 晴天・澄潮・浅場(〜20m):最も効果的
- サクラマス・シーバス・イナダなど目のいい魚
- ナブラ撃ちで一瞬のアピールが欲しいとき
逆に、「深場」「ナイト」「濁り潮」「曇天」ではケイムラは機能せず、グローやゼブラグロー、黒系が有利です。
ケイムラが効く3つの科学的理由

① 紫外線は可視光より水中を深くまで届く
- 青や紫外線は、赤や黄より深く届く光
- 晴天・澄潮なら30m前後でも紫外線は到達可能
- 魚の中には紫外線を感知できる視細胞を持つ種が多い(サクラマス・クロマグロ・メバルなど)
② “ぼんやり光る”という不自然な質感
- ケイムラの発光はLEDのような点光源ではなく、“ふわっ”と広がる
- → 他のベイトに混じっても「違和感がある」=見つかりやすい
- だからこそ、“スレた魚”にも一瞬の興味を与える
③ 擬態効果より“視認効果”が強い
- マイクロベイトが多い状況では“目立ちすぎる”可能性もある
- ケイムラは「目立たないリアルさ」より「異物としての気づかせ力」が高い
ケイムラの使い方は“光ありき”
条件 | ケイムラの効果 |
---|---|
晴れ・日中・浅場 | ◎最大限に発光しアピール |
曇り・深場・夜 | ×紫外線不足で沈黙 |
魚種がUV感知型(サクラマス、マグロ) | ◎視認性あり |
ブリなどのコントラスト型視覚魚 | △効果が落ちることも |

魚種ごとの視覚特性をグラフ化したものです
それぞれの魚が「UV(ケイムラ)・青・緑・赤・明暗(コントラスト)」をどの程度感知できるかを、0〜10のスコアで比較しています。
- 紫外線感度(ケイムラの効きやすさ)はサクラマスやマグロが特に高い
- 明暗感知(シルエット・グロー)はブリとイカが最も強い
- 赤感度はシャケが他よりも高く、赤キンが効く根拠に
実践に勝る理論なし——色・光・形を釣果につなげるために
青や緑が魚に見えている——これは視覚の基本的な定義にすぎません。
しかし、実際に魚が反応するかどうかは、光の反射・明滅・水深・透明度・潮の濁りといった複雑な要素が絡み合っています。
私たちが水中で見えるのはせいぜい5メートル。
その先の30m、80mの世界は、もはや想像するしかありません。
だからこそ、想像力を武器に、色・光・形を組み合わせて仮説を立てる。
その仮説を現場で試し、釣れたら手応えとなり、繰り返せば確信に変わっていくのです。
ジグの選択肢は年々増えています。色も形も仕様も多様化し、価格も決して安くはありません。
初心者の方にとっても、メーカーの開発者にとっても、チョイスは簡単ではないのが現実です。
だからこそ、私は実際に釣った体験や、調べた知識を共有することで、次に選ぶヒントになればと思っています。
「何を狙うのか?」「どんな釣法なのか?」まずそこから絞り込むだけで、ジグ選びはずっとシンプルになります。
この情報が誰かの釣果につながるなら、それ以上の喜びはありません。